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逆ベネット骨折の徒手整復

症例49

当時40歳 男性

右手第5中手骨基底部骨折

第49症例目

<当院ホームページでのみ掲載を許可された症例画像の為、無断転載はおやめください>



この骨折は国試などではよく扱われる骨折なので
柔道整復師なら必ず知っている、逆ベネット(リ
バース・ベネット)骨折という有名な骨折です。
横文字の名前がある骨折は試験にも出題しやすい
ために、学校ですごく詳しく勉強します。   
しかし逆ベネット骨折は一般的にオペを選択する
ことが多く、臨床現場での整復の機会はほとんど
ありません。                
そしてその発生機序は、物を握ったまま打ち付け
たり、ファイター骨折と同じように拳(第5MP
関節)を強打した際に、骨長軸に力のベクトルが
一致した時に発生します。          
その為意外と多くの方がリバースベネット骨折を
受傷します。                
しかし難しいうえにこの骨折の整復経験がある柔
道整復師はあまりいない為、ほとんどの患者さん
が手術を余儀なくされています。       
私(院長 鐘ヶ江)はリバースベネット骨折の整
復を2症例経験してます。          
もう1例は柔道整復術の定義ページ下部に掲載し
てあります。                
リバースベネット骨折は徒手整復でうまく戻せる
可能性があるので、写真のような折れ方をしてい
ても諦めずに遠慮なく相談ください。     

ちなみにこの患者さんは何かを殴ったわけではな
く、転倒した際に荷物を持ったままの手を壁にぶ
つけて骨折しました。            
指先の骨折(第32症例目)と同じくあまり見た
目に変化がなく、指の曲げ伸ばしも問題なくでき
たために、骨折して3日後に受診されて骨折が発
見されました。               
曲げ伸ばしできたものの、左手に比べて腫れてい
て、受傷翌日には内出血もあったそうです。  
殴ってこの骨折が発生した場合は、衝撃をうける
部分である拳から離れた場所に腫れと内出血が出
現するので「なんかやばいかも」とすぐに思うの
ですが、今回はぶつけた場所の腫れと内出血なの
で、ちょっと強めに打ち付けた打撲だと思って様
子をみていたそうです。           
しかし、握ったり物を持ったりするときに鋭い痛
みが走る為、やっぱりおかしいなと思い受診され
ました。                  
年齢的にはまだ整復可能な状態でしたが、成長期
以下の年齢の方の場合、3日経ってしまうと骨癒
合が始まってしまっていて引っ張るには手遅れと
なる事もあります。             
なので強めに打ち付けてしまった場合などは、ま
ずは診せる事が非常に大切です。       
そして整形外科よりもより気軽に相談できる場所
としての役割が、接骨院の存在価値の一つですの
で                     
「骨折・脱臼を疑ったらまずは接骨院へ」
という認識を持っていただけると幸いです。  

今回の骨折の症状は             

限局性圧痛(+)、腫脹(+)、皮下出血(+)
神経・大血管損傷(−)、皮膚損傷(−)   
転位(++)→背側(+)、掌屈(+)    
       尺側(+)、短縮(+)    
       外旋(+)          

特筆すべき持病などはなし          
だったので整復しました。          

第49症例目2

<当院ホームページでのみ掲載を許可された症例画像の為、無断転載はおやめください>


結果から言うと、「Repo perfect」
でした。                  
今回も背側転位なのに掌屈という、回転転位を伴
う症例でした。               
さらに尺側転位と外旋転位があり、写真からも結
構な外旋転位であることがわかったかと思います
この場合掌屈転位は第4中手骨との位置関係でも
確認することが出来ます。          
外旋転位も第5中手骨骨頭の輪郭から、度合いを
確認することができます。          
整復後の写真では第4・5中手骨長軸が平行とな
り、外旋転位によって写っていた第5中手骨骨頭
の掌側傾斜の角度が外旋転位除去により減少した
ように写っていることが確認できます。    
そして第5MP関節の位置が抹消に伸びているこ
とから、短縮もとれていることがわかるかと思い
ます。                   
この方は固定時にしっかりと他指を動かすように
していた為、固定除去後に1か月程のROM訓練
を行い完治されました。           
固定してしまうとその周りも影響を受けて、広範
囲で関節拘縮を起こすことがあります。    
もちろん患部の安静を得るためには拘縮は仕方な
いという事もあるのですが、固定中でも動かして
よい関節は積極的に動かしたほうがその後のリハ
ビリは楽になります。            


以上、第49症例目の整復レポートでした。  

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