症例77当時12歳 女性
右スミス骨折(若木骨折)
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この患者さんは部活動でハードル走の練習中に転 倒し、受傷1時間後に受診されました。 今まで経験したことのない激痛と手首の違和感が あった為に、すぐに受診して骨折が見つかりまし た。 骨折してから整復するまでの時間が短いほど成功 率はあがります。 しかしその分、限局性圧痛以外の症状がない可能 性も高くなります。 案の定、今回の骨折の症状は 限局性圧痛(+)、腫脹(−)、皮下出血(−) 神経・大血管損傷(−)、皮膚損傷(−) 転位(+)→掌屈(+) 特筆すべき持病などはなし であり、外観上微妙に変形しているようにみえる 程度でした。 しかも若木骨折なので異常可動性は確認できませ んでした。 このような症例はレントゲン検査をするまで骨折 だとわからない場合も多いです。 大丈夫だと判断した後に急激に腫れてしまって、 レントゲン撮影をしたら実は骨折していたとわか るケースが多いです。 整復を行う時には腫脹が少ないほうが成功率はあ がります。 そして何より、初期に固定をしないことで起こり える2次被害を回避する為にも、初回来院時に骨 折を見抜くべきです。 特に小児骨折の場合は、竹節状骨折(症例62) などの、受傷時にはほぼ痛みだけしか確認できな い骨折もあります。一般的な痛みと骨折による痛みは明らかに違いま す。 しかし、痛みの感じ方には個人差があるため、そ れを客観的に判断するのは非常に難しいです。 その痛みの度合いから骨折などを見極める精度を 上げるには、骨折症例をたくさん経験するのはも ちろん、筋肉や靭帯損傷症例などの臨床経験もた くさん積んで、それらと比較することができるよ うにしておくことが必要です。 ちなみに今回の症例の方は、初めての骨折という ことですごく怖がっていたために骨折部以外も最 初は痛がっていましたが、骨折部の確認を根気強 く行う事で、なんとか明確な骨折痛を確認するこ とが出来ましたのでそのまま整復しました。
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結果から言うと「Repo good」でした。 掌屈転位が消失しているのがわかるかと思います ほんの僅かに掌屈が残存していますが、自家矯正 の範囲内で予後良好と思われるとのことで「Re po good」と医師より評価していただきま した。 年齢的にも、その後のリハビリは特に行わず完治 されました。 ちなみにいくつかの学齢期や小児の骨折の症例の レントゲン写真で、骨の末端が骨折しているみた いに見えるものがあると思います。 その部分は骨折ではなく成長軟骨といって、骨が 成熟すると確認できなくなります。 さらに小さい子供の場合、骨がまだほとんどでき ていない為、レントゲンでは骨が無いように見え ます。 見たことが無い方はビックリされたかもしれませ んが、お子さんがケガしたときに医師の説明がよ り理解しやすくなりますので、これを機会に是非 覚えておいていただけると幸いです。 以上、第77症例目の整復レポートでした。