症例67
当時12歳 男性
左手第5基節骨外転骨折
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この患者さんはドッチボールをしている時に、ボ
ールが小指に直撃(突き指)したことで骨折して
しまいました。
この骨折は、小指に過度の外転強制(指を開く側
に強制的に曲げられる事)が加わることでよく発
生します。
そして今回の骨折は骨端線離開が認められます。
ちょっとわかりにくいという方は患部を拡大して
みてください。
これはソルターハリスの分類だとU型に分類され
ます。
私(院長 鐘ヶ江)は予後不良の可能性が低いと
いうことで、まずここで一安心しました。
それと同時に、正確な整復が求められるという事
でほんの少しプレッシャーを感じたのを覚えてい
ます。
私が初めて指の整復をしたのが第2症例目で、大
人の男性の左手第4指中節骨複合骨折(T字状)
と左手第4指PIP関節背側脱臼と左手第4指マ
レットフィンガー(typeU)の併発症例だったの
ですが、その時と同じくらい集中すればうまくい
くと確信をもって整復に臨みました。
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この男の子は受傷時に激痛はあったものの、その
後はそこまで痛がりませんでした。
骨折するとものすごく痛いイメージがあると思う
のですが、実は患部を刺激しなければ痛くないこ
とが多いです。
ズレているために圧迫されるような鈍痛はあるの
ですが、大泣きしたりということは無い場合も意
外と多いです。
その為に発見が遅れてしまい、骨がズレたまま骨
癒合してしまい整復するには手遅れになる事が多
いです。
その場合、ズレたままだと機能的に障害が起こる
と判断されれば手術ということになります。
この男の子は幸いにも指を閉じても薬指に小指が
つかない状態になっていることが見た目で判断で
きたために、親御さんと一緒にドッチボールの半
日後に来院されて発見することができました。
なのでお子さんがあまり痛がっていなくても、親
御さんは左右の手を見比べたりして、少しでもお
かしいなと感じたら遠慮なくご相談ください。
そしてこの方の症状なのですが、
限局性圧痛(+)、腫脹(−)、皮下出血(−)
神経・大血管損傷(−)、皮膚損傷(−)
転位(+)→ソルターハリスU型
特筆すべき持病などはなし
ということで整復を行いました。
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結果から言うと、「Repo perfect」
でした。
薬指と小指が、閉じたときにしっかりと平行にな
り、指も付き、オーバーラッピングフィンガーも
ありません。
レポ感もしっかりとあり、今回は助手にも対向牽
引に加えて指間近位部の外方押圧をするように指
示を出したため、非常にうまく整復できました。
その後はプライトン副子で固定し、若さも手伝い
関節拘縮を起こすことなく短期間で完治されまし
た。
今回の整復で上手く治せなかった場合や、折れて
から時間が経ちすぎていた場合は、外科的に治す
事となっていた筈なので、徒手整復がうまくいき
安堵したのを覚えています。
以上、第67症例目の整復レポートでした。