症例57当時6歳 女性
右尺骨近位端部骨折
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今回は少し珍しい症例を掲載します。 この患者さんも転んでしまい骨折しました。 本来、小児が転倒して発生する肘の骨折は顆上骨 折という危ない骨折やモンテギア骨折が発生する ことが多いのですが、今回は不幸中の幸いで尺骨 が外側転位した単独骨折という損傷になりました 尺骨単独骨折には直達外力による、攻撃などを防 御する際に発生するパレ骨折というものがありま すが、今回は転倒の際に手をつき、曲がるように 折れています。 手をついて尺骨を骨折するのは珍しいのですが、 日常生活ではよくある、尻餅をつくような転び方 で発生します。 尻餅をつく時に先に手をついた際に、肘が伸び切 っているとこの骨折は発生します。 そして普通の若木骨折と違い、骨の長軸方向に力 のベクトルが一致した圧迫力が加わった事で、尺 骨骨幹部に軽度の急性塑性変形が発生している可 能性がありました。 急性塑性変形は成長過程でのリモデリングが期待 できない為、当時は少しでも元に戻せるように引 っ張ったことを覚えています。 そして骨折の症状は 限局性圧痛(+)、腫脹(±)、皮下出血(−) 神経・大血管損傷(−)、皮膚損傷(−) 転位(+)→外側(+)、短縮(+) 急性塑性変形(±) 特筆すべき持病などはなし だったので整復しました。結果から言うと、「Repo good」でした 橈骨の位置関係などから、尺骨が伸びているのが わかるかと思います。 尺骨の弯曲が多少残るもののある程度とれていて 予後に影響はないとの判断で「Repo goo d」と評価して頂きました。 急性塑性変形は、軽度なものは見逃されることが 多々ある症例ですが、必ず痛みや動かしずらさな どの症状が出現します。 転んだりぶつけたりといった強い力が加わったあ とに、激痛ではなくても違和感や鈍痛が残るとき は遠慮なくご連絡ください。 以上、第57症例目の整復レポートでした。
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