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前腕両骨骨折の徒手整復

症例56

当時8歳 男性

右前腕両骨若木骨折

第56症例目

<当院ホームページでのみ掲載を許可された症例画像の為、無断転載はおやめください>


今回の症例は若木骨折です。         
若木骨折は過去にも掲載しましたが、今回はより
詳しく説明していきます。          
この骨折は名前の通り若い木の枝を折ったときの
折れ方に似ています。            
骨が離れることなく形だけ変わる為、過去に掲載
した若木骨折(症例77)くらいの変形だと、外
見上の変化に乏しく見過ごされてしまう事もあり
ます。                   
若木骨折はまだ骨が成熟する前で柔らかい状態の
時に発生します。              
もちろん強大な力が加われば、若木骨折では済ま
ずに骨が離れてしまう完全な骨折も発生します。
若木骨折の場合、痛みは激痛ではない事も多く、
強い圧迫感や違和感を訴える場合があります。 
なぜ激痛ではないのかというと、骨には痛覚が無
いからです。                
実は骨の痛覚は骨膜に集中して分布しています。
鶏の手羽元等の骨をつまようじ等でガリガリひっ
かくと膜がはがれるのですが、あれが骨膜です。
骨折で激痛が走るのは、厳密に言うと骨が折れた
からではなく、骨膜が破けたからなのです。  
そして大人に比べて小児の骨膜は分厚くて強靭で
す。                    
その為前回掲載したバートン骨折(症例28)の
ように完全にズレない限り、そこまでの激痛は伴
わない事が多いです。            
実際に今回の患者さんもそこまで痛みを訴える事
はありませんでした。            
スケートボードで転倒して手をついた事が原因で
骨折し、レントゲン写真の皮膚の輪郭を見てもわ
かるように明らかな変形が外見からわかった為、
転倒の翌日に来院されました。        
そして骨折の症状は             

限局性圧痛(+)、腫脹(+)、皮下出血(−)
神経・大血管損傷(−)、皮膚損傷(−)   
転位(+)→橈骨              
      掌屈(+)、橈屈(+)     
      尺骨              
      掌屈(+)、橈屈(+)     

特筆すべき持病などはなし          
だったので整復しました。          


第56症例目2

<当院ホームページでのみ掲載を許可された症例画像の為、無断転載はおやめください>

結果から言うと、「Repo perfect」 でした。                   尺骨の転位が少し残存していますが、自家矯正の 範囲内との医師の判断で「Repo perfe ct」と評価していただけました。       この患者さんは10日程固定後ROM訓練は行わ ずに、1ヶ月ほど温熱療法を受けて完治されまし た。                     ちなみに若木骨折は、発生が末端であればあるほ ど整復は困難になります。           そして小児の骨はあまり大きな力に耐えられない 為、完璧に治したいからと言って、成人患者のよ うに末端部を強い力で引っ張ってしまうと整復に よって骨や周辺組織を損傷してしまう事がありま す。                     しかし完璧に戻せなくても、小児は成長過程で骨 のズレが元に戻る力が旺盛なので、許容範囲まで 戻すことが出来ればよいと考えられています。  なので壊すほどの力で完璧を求めた徒手整復をす る必要はありません。             経験が浅いうちは痛がるお子さんを前にすると、 壊すリスクがあるのに絶対に完璧に戻す!なんて 張り切ってしまっていました。         それを見越して、修業3年目くらいまでは「徒手 整復の限界を必ず頭に入れて整復するように」と いう助言を整復直前に毎回医師より頂いていまし た。                     経験不足の駆け出しの頃や、初めて扱う症例の整 復の時は誰でも少しは舞い上がってしまいます。 しかし整復操作に失敗は許されません。     そのため実際に徒手整復を行う際は、高い整復技 術と同じくらいに精神的な強さも必要です。   常に徒手整復の限界は必ず意識して、「手術が望 ましい症例」や「不覚にも舞い上がってしまった 症例」には手を出さずに、速やかに医師へ紹介状 を書き連携し、患者さんにとって最適の判断をす るようにするべきです。            その辺をちゃんとわきまえた柔道整復師が増えて いけば、医接連携ができるような信頼関係を医師 と築くことができると信じています。      以上、第56症例目の整復レポートでした。  

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